【詩人】文月悠光さんインタビュー

詩人として活躍されている文月悠光(ふづきゆみ)さんは、2007年、中学校在学時中に第3回詩学最優秀新人賞受賞され、2008年、最年少で現代詩手帖賞を受賞されました。ご自身の詩集を2009年に出版され、中原中也賞および丸山豊記念現代詩賞を最年少受賞されました。現在、雑誌、新聞、エッセイ、書評、朗読会などで活躍されています。

今回、ニセコ入りされました文月悠光さんに、インタビューに答えていただきました。

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【制作について】

Q.今回、カウパレードのお話を受けられたときの率直な印象はどんな感じでしたか。

文月さん: なぜ牛? なぜわたしに? と正直驚きました。詩人として詩や文章を書く仕事をしているため、アートとコラボレーション以外の形で関わることは少なかったからです。ニセコに滞在制作という形に魅力を感じ、エントリーすることにしました。

Q.デザイン(こもれび)を選ばれた理由をお聞かせください。

文月さん: 公共空間にカウが展示された際に、カウのいる場所だけが森に見えたら面白いのではないか、と考えました。木陰で身体を休めるカウと共に、見た人も心を休めて、懐かしい気持ちに浸って欲しいな、と。

Q.制作するときの気持ちの持って行き方と言葉と向き合っていらっしゃるときと何か共通点はありますか。

文月さん: 土台になる器がある、という点です。目の前の真っ白な原稿に立ち向かわなければいけない、という気持ちで、カウと向き合っています。カウという形式がイレギュラーなものなので、気圧されてばかりですが。「終わり」を目指して力を尽くしています。

Q.制作時に一番気をつけていること、何に注意をして描いていらっしゃいますか。

文月さん: 一箇所に意識が集中しがちなので、全体を見ることを意識しています。カウ像そのものの立体感を生かしたいと思い、描き方を模索中です。

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Q.制作中、何か考えながら描いていらっしゃいますか。

文月さん:「ちゃんと完成するんだろうか…」と時々不安にかられるので(笑)、好きな音楽を聴きながら描いています。弾き語りや日本語ラップなど歌詞に意味や物語性のあるものを繰り返し聴きます。考えるのは仕事のことや、今北海道に来ているので、札幌に住んでいた頃のことです。

Q.大学時代に絵を描いていらっしゃったとお聞きしていますが、今回難しいなと思った点がありましたら教えてください。

文月さん: 集中して描いていたのは高校3年間でした。久々に絵筆を握り、「難しいな」というよりは「こんな感じだった!」と当時に意識を追いつかせるので精一杯です。歯がゆい気持ちもありますが、描くことは楽しいです。プロの画家やデザイナーの方に囲まれて、不慣れであることを恥じない、ということが一番難しいな、と思います。

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【ニセコという場所について】

Q.カウパレードがニセコで開催されることについてどう思われますか

文月さん: 豊かな自然空間との響き合いが楽しみです。制作会場にも毎日様々な人が訪ねて来られます。人のつながりが密なので、札幌などの都市部で開催されるよりも可能性が大きいと感じます。

Q.文月さんのように、言葉を使われるお仕事の方、また、アーティストの方にとってニセコはよい環境だと思われますか?

文月さん: 制作に集中できる素晴らしい環境だと思います。特に現在制作中の5月から6月にかけては、緑も美しく、風も涼しくて過ごしやすい季節です。制作会場にこもるだけでなく、外を歩いてみたいと思っています。

Q.ニセコの大自然が今回のデザインに活かされていたり、何かインスピレーションになっていたりしますか。

文月さん:  制作会場の窓から羊蹄山を眺めるのが毎日楽しみです。雲の形、空の色、晴れなのか、雨なのか、霧が掛かっているのか……。日々、表情が異なります。

 私は札幌で育ち、現在は東京に住んでいますが、空の広さ、夜の星の多さにびっくりしています。一度にこんなにたくさんの星を見たのは初めてでした。山と星を題材に、詩の言葉をカウの中に残したいと思います。まだ山の方面は歩いていませんが、気晴らしに散策する予定です。

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文月さんの完成カウ。言葉がちりばめられ、よりいっそう文月さんらしいカウになりました。

設置されましたら、どうぞ、この詩の意味と文月さんの世界観を全体のカウから感じ取ってください。

ご協力ありがとうございました。