Sprout Cafe 【峠ヶゆきこ代表】

”何かお店をやりたいと思っていた。ここで暮らすには何かワクワクしたい、何かを興したいという想いがあった”

平日朝10時前。エスプレッソマシーンの音が響く店内には赤ちゃんをつれたママさんたちで賑わっている。出勤前の人たちがテイクアウトコーヒーを手にしては店を出て行く。今では倶知安の駅前にあるスプラウトカフェは、ローカルの人々の集いの場として定着している。地元、千葉にいるころに今のご主人と知り合ったゆきこさん。アウトドア好きの二人が移住を決めたのは北海道だった。特に自然(カヤックや山)が豊富な環境としてニセコはとても魅力的だったそう。

ゆきこさんは、千葉という町からニセコへ来て、町の印象についてこう言っている。

「とてものどかな場所なのに、ただ、のどかなだけではないという空気。ちょうど私たちが来たころに外国人移住者もたくさん来出したころだった。移住者が多い土地柄のため、暮らすということに抵抗はなかった。」

最初からカフェをやるつもりではなかった。ただ、常に、何かお店をやりたい、という想いはあったという。このエリアで暮らして行くなら、ワクワクする何かを興したい、という想いがいつもあった。二人とも”モノ”が好きだったため、何かアウトドアにまつわるショップという構想はあったものの、何よりコーヒー好きなお二人が、人が集う場所を造りたいと考えたときにコーヒーショップという構想はとても自然な流れだった。

当時、テイクアウトができるコーヒーショップがなかったこと、また、気軽にコーヒーを楽しめたり、人が集える場所として、テイクアウトもできるカフェのアイデアが自然と出てきたという。もちろん、二人の共通点としても、「コーヒー好き」というのは根底にあった。


”横井さんというキーパーソンがいなければ、今の私たちはない”

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物件を探し始めて縁があって今のロケーションとなったらしいが、元々、ピンポイントで駅前を狙ったわけではなかった。ただ、コーヒーショップならある程度の人通りがある場所がいいという希望はあったので、結果的にはとても好ロケーションに恵まれた。

コーヒーについての専門的な知識や技術は、お店をやるときにはまだ未熟だった。バックグランドに知識があったわけではないのに、なぜ、お店をオープンすることにまで漕ぎ着けたのか。そこには”横井さん”というキーパーソンが大きく関係している。ゆきこさんの当時のバイト先にはエスプレッソマシンがあり、ゆきこさん自身使うのも作るのも大好きだったという。バイト先のお店で使っていたコーヒーがとても美味しくて、どこのロースターの豆かを訪ねたところ、それが札幌にある”横井コーヒー”だった。

ゆきこさんはコーヒー豆について知りたいことをその横井さんに直接メールで質問してみたことがあったという。横井さんは、世界的に有名なコーヒー豆買い付けグループJRNのメンバーの一人で、豆に関しての知識、そしてこだわりがとても強くある人だ。会ったこともない一バイトの女の子に返事をしてくれるだろうか・・・そう思っていた矢先、ご本人から目を疑うような丁寧な返答がきた。一聞いたことに対して百返してくれるような、それはとても丁寧な返事だったという。それからゆきこさんは、自分がお店を開く時には、ぜひ、横井さんにサポートしてもらいたいという強い想いが実り、実際にエスプレッソマシンの代理店から豆、コーヒーに関することのすべてをつないでくれる、まさに、キーパーソンになったという。ゼロからはじめるという不安を、横井さんは心強くサポートしてくれたそうだ。


”オープンから掲げている OUTDOOR+ESPRESSO コンセプトは決してブレない”

こうしてSprout Cafeは誕生する。お二人がアウトドアが好きでコーヒーが好きということから、お店のコンセプトは自然とOUTDOOR+ESPRESSOになった。共感する人々がリピーターとなり、人が人を繋いでいく。2年前からはスポーツイベントを中心に回り、コーヒーを届けている。

店内には地元のアーティストが作った雑貨やアート作品が並ぶ。お二人のホームである千葉のアーティストの作品や、メイドインジャパンで頑張っている人々のものを中心にセレクトしているそう。全体のバランスを考え、なるべく作り手の顔が見える人との取引を心がけ、それが縁となってつながっていくと言う。


”最近ではいろんなコーヒーのスタイルが増えてきているけど、スプラウトの一番の売りはとにかく品質”

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キーパーソンである横井さんは、年に数回直接現地の生産者に会って豆を仕入れる、世界的に有名な買い付けグループの一人として活躍されている。そのハイクオリティな豆を譲ってもらっているゆきこさんは言う。

「直接生産者から仕入れた豆を譲ってもらうという流れはとても特別なこと。その分値段は張るがうちは品質を重視する」

特に最近は、コーヒーもとても手軽になり、いろんなスタイルで様々なコーヒーが楽しめる。けれど、Sproutでは品質を一番のこだわりにしている。スペシャルティコーヒー豆を使うということは、その分値段も高くなる。それでも、品質を保持することに誇りを持っている。


”やるからには町で一番の代表的なコーヒーショップに”

倶知安を代表するコーヒーショップとして、また、人々が集える場所として、スポーツイベントには必ず目にするコーヒースタンドとして、知名度の上がってきたSprout Cafeだが、今後の展開として、いつか焙煎もするコーヒーショップにしたいという。これは夢ではなく、確実に実現させる計画のひとつとして今はその種まきの時期だそう。焙煎をするということは、それなりのスペース、設備、知識などの準備が必要になってくる。勉強することももちろん必要となる。

ゆきこさんが昔、横井珈琲さんのコーヒーをとても美味しいと感じ、その焙煎元である横井さんとつながり、そして近い将来、その横井さんに指導してもらいながらSprout独自の焙煎した豆が、いつかまた誰かの五感を震わせ、ゆきこさんとつながるのだろう。コーヒー豆を通じて循環する人と人との繋がり。そんな輪は、本当に美味しいコーヒーを理解し、尊重し、揺さぶられることによって一回りも二回りも成長し、その各地でコーヒー文化を根付かせるのだと思う。

声がかかればどんなコラボレーションでも応じる姿勢でいるという。病院での訪問販売=コーヒーエイド 然り、和菓子屋さんとのコラボレーション然り。冬季のみミニスタンドとして、ひらふのコンドミニアム内でも温かい飲み物を提供し、冷えた体のスキーヤー達に重宝されている。
テイクアウトコーヒーで地元のパイオニア的存在となったSprout Cafeは、これからもアウトドア好きな人たちの交流の場であり続け、そこに来る人たちに一杯の幸せを提供し続ける。


SPROUT

北海道虻田郡倶知安町北1条西3-10(倶知安駅から徒歩1分、お菓子のふじいさんの隣)

0136-55-5161

営業時間:朝8時~夜7時

定休日:火曜日

P有り