高橋弘子氏インタビュー:展覧会「響む(とよむ)」をめぐって

現代アーティストの高橋弘子氏にお話を伺い、現在開催中の展覧会「響む(とよむ)」に込められた想いや、制作の背景にあるインスピレーションについて伺いました。本展は、木ニセコ1階「木ギャラリー」にてご鑑賞いただけます。

2026年1月30日まで開催される本展では、人と自然との永続的な関係性をテーマにした全11点の作品を展示しております。畏敬の念や静かな畏怖といった感情をモチーフに、高橋氏は、私たちが自然から何を受け継いできたのか、そしてその過程で何を失ってきたのか、さらには「人間であること」とは何を意味するのかを、鑑賞者の皆さまへ静かに問いかけます。

Resound Exhibit

近年は日本に古来からあった文化や、古来から日本人が自然現象や動植物をどのような感性で捉え、それらが習俗や信仰にどのように反映されてきたかということに関心を持っています。現代は、そうした習俗や信仰が確立した時代からは遠く離れていますが、古来の日本人が持っていた感性は果たして現代の我々にも共通しているかどうかということを考えています。

その中で、特に狼というモチーフを多く描いてきたことから、主に本州の一部地域で信仰される狼信仰や、狼が登場する伝承を参照した作品を中心に展示しました。

狼を主なモチーフとしつつも、「人間とは何か」「人間は何をしているか」を追求、表現した作品を制作してきました。画材はアクリル絵の具を使用しています。

私の作品は信仰や神話の場面を直接描くものは少ないですが、日本の方には、古来からの日本人が何を見てどのように文化を組み立てたのかということにも思いを馳せていただけたらと思います。そして現代において、我々自身もまた(無意識にでも)何らかの文化を進行形で組み上げているのだということを考えるきっかけにもなればと考えています。日本国外の方々にも、信仰や習俗といった日本文化の片鱗を感じていただければ幸いです。

また、日本ではすでにニホンオオカミ、エゾオオカミともに、人間による駆除も原因として絶滅していますが、かつてこの北海道の大地にも狼が駆け回っていたのだということにも思いを寄せていただけたらと思います。

ただ、「何を見たときに自分は何をどう感じたか」は自分自身を知るにあたってとても大切な手がかりですので、作家の意図と違う感想も大切にしてほしいと考えています。

制作の着想となる直感は、ふとした瞬間や、何らかの情報に触れた場合、あるいはコンセプトについて考察している段階など、あらゆる形で与えられます。

先に視覚的なイメージが湧く場合は、「その視覚的イメージが意味するものは何か」を考え、先に文章的なコンセプトがある場合は「そのコンセプトを絵として表現する場合、適したモチーフや配置、配色は何か」ということを考えて作品の内容を固めていきます。

日本文化への感心はまだ継続していますので、引き続きそれを参照した制作を続けていく予定です。ただ、日本は島国ではありますが、古来より諸外国から影響を受けて文化を熟成してきたこともあり、習俗や仰などにおいて、外国の文化との共通点も見られます。それが単に知識や体験としての影響を受けたことによるのか、あるいは人間は根源的に共通の感性、あるいは精神的な進歩を持ちうるのかということも考えながら制作していきたいとも考えています。人間個人において、「自分は何者であるか」を把握するのは重要だと考えていますので、その一助となる作品発表をしていけたらと思っています。

木ニセコに滞在されている方々が大切な休暇を過ごしている期間に私の作品を展示する機会をいただけたことを幸運に思っています。お寛ぎの時間に、作品をゆっくり楽しんでいただければ幸いです。文字数の関係からキャプションでの説明は簡潔な文章となっていますので、ご質問がある場合はSNSwebshopのフォームからいつでもご連絡ください。

展示期間:2026年1月1日〜2026年1月30日
本展は入場無料で、木ニセコにご宿泊のお客様はもちろん、どなたでもお気軽にご鑑賞いただけます。北海道のクリエイティブなスピリットを、皆さまと分かち合えることを心より楽しみにしています。どうぞ、お気軽にお越しください。

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