木ニセコの館内では、ちょこんと可愛らしい動物の置物たちに出会えます。ロビーでお迎えする小さな動物たちは、素朴さと生命力にあふれ、ただそこに佇んでいるだけで心を和ませてくれます。
これらの作品を手がけるのは、札幌市在住の彫刻作家 今谷孝(いまや たかし)さん。全道美術協会彫刻部会員として活躍されている作家さんです。とりわけ今谷さんの作品は、まるで本当に命を宿しているかのよう。柔らかい身体のしなやかさや、愛らしい仕草までもが丁寧に表現されており、その存在感に思わず見入ってしまいます。
今谷さんの作品は「テラコッタ作品」と呼ばれ、各地で展示会も開催されています。「テラコッタ」とはイタリア語で「焼いた土」を意味し、素焼きの陶器や彫刻、建築装飾などに広く使われてきた、古くからの表現技法です。土を成形して低温(約800〜1000度)で焼き上げることで、自然で温かみのある質感や素朴な風合いが生まれます。
今谷さんの作品に使用されるのは、レンガの町として知られる江別の大地が育んだ粘土。現在も国内有数のレンガ生産地であり、市内には歴史を感じさせる赤レンガの建物が数多く残っています。
この地元の素材を活かして人物や動物をかたちづくり、約780度で焼き上げた後に水彩絵の具で彩色。ひとつひとつの作品には、土のぬくもりと生命感が宿っています。小さな動物たちは、今にも動き出しそうなほど生き生きとした表情を浮かべ、首をかしげる仕草や、寄り添うような姿で見る人を和ませます。その瞳にはやさしさや好奇心が映し出され、思わず微笑んでしまう温かさがあります。素朴でありながらも、命の鼓動を感じさせるような存在感が、作品ひとつひとつに息づいています。
木ニセコのフロントデスクやロビー、ギフトショップに飾られた作品たちは、ご滞在中のお客様を温かく迎え、心をほっと和ませてくれる存在です。ぜひ足を止めて、小さな仲間たちの愛らしい表情と、土のあたたかな質感をじっくりと感じてみてください。